家の外観は、住まいの第一印象を左右する大事な要素です。個々の好みやライフスタイルを反映しつつ、周囲との調和や機能性も重視しなければなりません。しかし、どのようにデザインをまとめれば良いのか悩む方も多いでしょう。
ここでは、建築士が教える外観デザインをカッコよく整える5つのコツを紹介し、理想の住まいを形にするためのヒントを提供します。
家の外観のデザイン
家の外観をデザインするとき、まず大きく影響するのが家の形です。家の形は、単に見た目の印象を決めるだけでなく、住む人のライフスタイルや居住性にも深く関わってきます。
たとえば、何階建てにするか、和風にするか洋風にするかなど、形やスタイルの選び方によって、家の全体像や雰囲気が大きく変わります。
何階建てにするか
家を何階建てにするかは、住む場所や家族構成、ライフスタイルに大きく影響されます。たとえば、平屋は階段を使わないため、高齢者や小さな子どもがいる家庭にとっては非常に住みやすい形です。
また、平屋は広がりを感じさせるデザインが可能で、開放的な空間を作りやすいというメリットもあります。平屋ならではの大きな窓や、庭との一体感を楽しめる開放的なレイアウトも魅力の一つです。
一方、2階建てや3階建ての場合、敷地面積が限られている場所でも居住スペースを確保できるのが特徴です。都市部などの狭い土地に建てる際には、2階建てや3階建てを選ぶことで、同じ面積でも広い居住スペースを確保でき、家族が多い場合にも対応しやすくなります。
また、上階からの景観を楽しむこともできるため、眺めの良い土地に建てる場合には、こうした設計が効果的です。
さらに、縦に空間を利用するため、デザイン面でも高さを活かした立体的な外観が可能です。たとえば、バルコニーやテラスを設けることで、空間を有効に使いながらデザインのアクセントにすることができます。
和風にするか洋風にするか
家のスタイルを和風にするか、洋風にするかも重要な選択です。それぞれのスタイルには独自の魅力があり、住む人の好みや地域の環境に応じて選ぶことができます。
まず、和風建築の特徴は、落ち着きや風情を感じさせるデザインにあります。瓦屋根や木材をふんだんに使った外観は、自然と調和しやすく、日本の風土にもよく合います。
また、和風建築は内外のつながりを大切にする傾向があり、庭と一体となるような設計が可能です。縁側や障子などの伝統的な要素を取り入れることで、自然光や風をうまく取り入れた、快適で居心地の良い空間を作ることができます。
和風の家は、自然素材を使ったやさしい雰囲気を持ちつつ、重厚感も感じさせるデザインが魅力です。とくに、古民家風やモダンな和風デザインは、シンプルでありながらどこか懐かしさを感じさせる雰囲気を演出できるため、落ち着きのある外観を求める人におすすめです。
一方、洋風建築は多様なデザインが可能で、カジュアルなものからクラシカルなものまで幅広いスタイルが選べます。とくに、北欧風や南欧風といったスタイルは、日本でも人気があります。
北欧風のデザインはシンプルで機能性を重視したものが多く、清潔感のある白やグレーを基調とした外観が特徴です。また、大きな窓や広いバルコニーなど、開放感を持たせた設計が多く、光を取り入れやすいのも魅力です。
南欧風のデザインは、明るい色使いや曲線を多用した外観が特徴で、温かみのある雰囲気を演出します。テラコッタの屋根やアーチ型の窓など、独特の装飾が異国情緒を感じさせるため、リゾート感のあるデザインを求める人には最適です。
また、アメリカンスタイルの洋風建築も人気があり、サイディングや煉瓦を使った重厚感のある外観は存在感を際立たせます。
外壁の素材やカラーをまとめる
おしゃれで統一感のある外観にするためには、まず外壁の素材やカラーをしっかり考えることが重要です。色や素材の選び方ひとつで、家全体の雰囲気が変わるため、慎重に計画する必要があります。
ここでは、外壁の素材やカラーをどう選ぶかについて、ポイントを紹介します。
外壁の印象を統一する
家の外観デザインをスッキリと見せるためには、外壁のカラーを1〜3色でまとめるのがおすすめです。
あまり多くの色を使ってしまうと、まとまりがなく、見た目が雑多な印象を与えてしまいます。とくに大きな面積を占める外壁部分では、色数を抑えることが洗練された印象をつくるための基本です。
基本的にはベースカラー、アクセントカラー、そして差し色という3つの色で構成するのがバランスの良いデザインになります。
ベースカラーは家全体の印象を決定づける大部分を占める色で、白やグレー、ベージュといった落ち着いた色がよく選ばれます。このベースカラーが家全体のトーンを決めるので、まずはこれを選ぶことが重要です。
次に、アクセントカラーはベースカラーに対して引き立て役となる色です。たとえば、ベースカラーが白の場合、グレーやダークブラウンなど落ち着いた色をアクセントカラーにすることで、全体にメリハリが出ます。
また、ドアや窓枠などの細部に使う差し色には、家の個性を表現する色を選ぶと良いでしょう。鮮やかな赤や青、黒など、少量の強い色を加えることで、家全体にモダンでシャープな印象を与えることができます。
与えたい印象にあわせて色や素材を考える
家の外観は、その家に住む人の個性やライフスタイルを反映するものでもあります。そのため、与えたい印象に合わせて色や素材を選ぶことが大切です。
たとえば、ナチュラルで温かみのある雰囲気を出したい場合は、ベージュやブラウンを基調に、木目調の外壁材を使うと良いでしょう。これにより、自然な風合いが感じられ、周囲の環境にも溶け込みやすいデザインになります。
一方で、モダンでシャープな印象を与えたいなら、グレーやブラックを基調にした外壁材が適しています。これらの色はスタイリッシュで都会的な雰囲気を強調し、無駄のないシンプルなデザインを引き立てます。
また、金属やガラスなど、光沢のある素材を組み合わせることで、さらに現代的な印象を高めることができます。
色の組み合わせだけでなく、外壁の素材選びも大切です。たとえば、木材やレンガ、タイルなどの自然素材を使えば、温かみや重厚感が強調され、落ち着いた雰囲気をつくりやすくなります。
また、金属系の素材やコンクリートなど、無機質な素材を使えば、クールで洗練された印象を与えることができます。
長年の変化を考慮する
外壁のデザインを考える際には、経年劣化についても注意を払う必要があります。外壁は長い年月を経て、雨風や紫外線によって少しずつ劣化していきます。そのため、デザインだけにこだわるのではなく、メンテナンスのしやすさや耐久性を考慮した色や素材選びが大切です。
たとえば、白や淡い色は見た目には清潔感があり美しいですが、汚れが目立ちやすいというデメリットがあります。とくに雨が多い地域や、工業地帯など排気ガスが多い場所では、定期的に外壁を洗浄する必要があるかもしれません。
その一方で、グレーやダークカラーは汚れが目立ちにくく、メンテナンスの頻度を抑えることができます。
また、外壁材そのものの耐久性も重要です。たとえば、塗り壁材や木材は自然な風合いが魅力ですが、経年劣化しやすいという欠点があります。防水処理や定期的な塗り替えが必要になることも多いので、メンテナンスにかかる手間とコストを考慮して選びましょう。
一方で、サイディングやタイルなどの外壁材は比較的耐久性が高く、長期間美しい状態を保ちやすいとされています。さらに、色褪せにくい素材を選ぶことで、外観を長持ちさせることも可能です。
経年変化に対応したデザイン選びは、最初の外観の美しさだけでなく、長い目で見たときの家の価値を守ることにもつながります。
カラーサンプルに注意
家の外観をデザインする際、とくに重要なのが外壁のカラー選びです。見た目の印象を大きく左右するだけでなく、住まい全体の雰囲気を決める重要な要素です。
そのため、事前に見せてもらえるカラーサンプルをしっかり確認することが大切です。しかし、サンプルを確認するときにはいくつかのポイントに注意が必要です。
大きめのカラーサンプルを使う
外壁のカラーを選ぶ際、カタログやパンフレットで小さな色見本を目にすることが多いでしょう。しかし、小さなサンプルでは実際に外壁に塗装したときの印象が大きく異なることがあります。
実際の外壁は、家全体に広がる大きな面積を占めるため、わずかな色の違いでも家全体の印象が大きく変わってしまいます。小さなサンプルだけで判断してしまうと、塗装が完成したときに「思っていた色と違う」と感じることも少なくありません。
そこで、できるだけ大きめのカラーサンプルを確認することが重要です。最近では、A4サイズやそれ以上の大きさのサンプルを提供してくれる業者も増えています。
実際に使われる色がどのように見えるのか、ある程度の面積で確認できるので、全体の雰囲気を把握しやすくなります。また、大きなサンプルを使うことで、色の濃淡や光の当たり具合による変化も確認しやすくなります。
色は、広い面積で見るとより明るく感じられることが多いため、思っていたよりも淡く見えることがある点も注意が必要です。
カラーサンプルは太陽光の下で見る
もう一つ大切なのは、カラーサンプルを太陽光の下で確認することです。室内の照明と屋外の自然光では、同じ色でも見え方が大きく異なります。
とくに外壁は常に屋外にさらされるため、室内で見たときと外で見たときでは全く異なる印象を受けることがあります。蛍光灯やLEDの下では、色が少し青白く見えることがありますが、太陽光の下ではその青白さが消え、自然な色合いが見えてきます。
実際に外壁が塗られる環境で確認するために、必ず屋外でサンプルをチェックしましょう。できれば、日中の晴れた日に外に出て、太陽光の下でサンプルを見比べることをおすすめします。
曇りの日や夕方、朝の時間帯でも光の加減が変わり、色が異なって見える場合があるので、さまざまな時間帯で確認すると、より正確な判断ができます。
また、サンプルを壁に立てかけたり、実際の家の外壁に近い位置に置いてみると、塗装後の完成イメージがつかみやすくなります。
街並みと馴染むよう確認
家の外観デザインを考えるとき、自分の好みや理想を優先するのは当然ですが、周囲の街並みとの調和も重要なポイントです。自分の家が目立ちすぎたり、逆に周りの家とあまりに異なるデザインを選んでしまうと、景観から浮いてしまい、全体のバランスを崩してしまう可能性があります。
街並みの雰囲気を観察する
まず、自分の家が建つ場所の街並みをよく観察することから始めましょう。地域によって家のデザインやスタイルは異なり、そのエリア特有の雰囲気があります。
たとえば、伝統的な和風住宅が多い地域や、モダンな洋風の家が並ぶ地域など、エリア全体のデザイン傾向を把握することが大切です。街並みの雰囲気を壊さないように、自分の家もその流れに沿ったデザインを考えると、自然な調和が生まれます。
住宅地にある家の外壁の色や素材、屋根の形状などを見て、どのような要素が共通しているのかをチェックしてみましょう。たとえば、周囲の家がベージュやブラウンなど落ち着いたトーンの外壁を多く採用している場合、あえて派手な色を選ぶと目立ちすぎてしまいます。
反対に、周囲の家がモダンでシンプルなデザインで統一されているエリアで、伝統的な和風デザインを取り入れると、その違いが際立ってしまうこともあります。
バランスを考えたデザイン
街並みに馴染む家を作るためには、周囲の家とのバランスを意識したデザインが必要です。たとえば、隣の家が平屋であれば、自分の家を高層建てにすると、圧迫感が生じてしまうことがあります。
同じように、隣家との間に高い塀を設けたり、窓の位置が向かい合うような配置にすると、プライバシーの問題にもつながることがあるので注意が必要です。
街並みに馴染むということは、ただデザインを似せるだけでなく、周囲との距離感や配置も考慮することが大切です。たとえば、隣家とあまりにも近い場合は、外観をシンプルにして、派手な装飾や目立つ色を避けることで圧迫感を和らげることができます。
また、バルコニーや庭の配置なども、プライバシーや光の取り込みを考えながら、周囲とバランスをとるように設計することが大切です。
将来のことを見据えたデザインを
家の外観デザインを考える際には、単に見た目の美しさや流行にだけ目を向けるのではなく、将来を見据えた選択が大切です。外壁や屋根の素材、カラーリング、デザインのトレンドなどは時間とともに変わり、家も経年劣化していきます。将来的なメンテナンスの手間や費用、流行の変化に対応できる外観を選ぶことで、長く愛される家を作ることが可能です。
メンテナンスのしやすさを考える
家の外観は、年月が経つごとに風雨や紫外線の影響を受けて劣化していきます。そのため、デザインや素材を選ぶ際には、メンテナンスのしやすさを考慮することが重要です。
たとえば、外壁の素材には、サイディングや塗り壁、タイルなどさまざまな種類がありますが、それぞれにメンテナンスの頻度や方法が異なります。
サイディングは耐久性が高く、比較的メンテナンスが簡単な素材です。定期的なコーキングの補修や再塗装を行うことで、長期間美しい外観を保つことができます。
一方で、塗り壁や木材を使用した外壁は、独特の風合いが魅力的ですが、メンテナンスに手間がかかる場合があります。とくに木材は、定期的な防腐処理や塗装が必要で、手をかけなければ劣化が早く進んでしまいます。
また、屋根材にも注意が必要です。瓦や金属屋根など、耐久性の高い素材を選ぶことで、頻繁なメンテナンスを避けることができますが、メンテナンスの難易度や費用も素材によって異なります。定期的に点検や補修が必要な部分を把握し、将来的な手間を考えて選ぶことが大切です。
流行に左右されないデザインを選ぶ
外観デザインは、建築業界のトレンドに影響を受けやすいものです。モダンで洗練されたデザインや、海外風のデザインが人気を集める時期もありますが、流行は時代とともに移り変わるものです。
トレンドにそったデザインを取り入れることも魅力的ではありますが、数年後にそのスタイルが古く見える可能性も考慮する必要があります。長く愛される家を作るためには、流行に左右されないシンプルで普遍的なデザインを選ぶのが一つの方法です。
たとえば、白やグレーなどの落ち着いたカラーリングは、時代を問わず人気が高く、周囲の景観にも馴染みやすいです。また、直線的でシンプルな形状の家や、無駄のないデザインは、流行が変わっても古びた印象を与えにくいです。
もちろん、個性を表現することも大切ですが、外観デザインのどの部分にアクセントをつけるかを慎重に選ぶと良いでしょう。たとえば、玄関ドアや窓枠に独自のカラーやデザインを取り入れることで、全体的にはシンプルなデザインに個性を加えられます。
部分的に変化をつけることで、流行に左右されず、長く魅力的な外観を保つことができます。
まとめ
家の外観デザインは、形やスタイル、色選び、素材、周囲の街並みとの調和を考慮することで、長く愛されるものになります。和風や洋風の選択、色や素材の統一感、そしてメンテナンスのしやすさなど、多くの要素が絡み合うため、慎重な計画が必要です。
また、経年劣化や流行の変化にも対応できるシンプルで普遍的なデザインが、長期的に美しい家を維持するポイントです。家族のライフスタイルに合った外観デザインを追求しながら、住み心地の良い住まいを実現しましょう。
独自の商材仕入れルートの確保や自社設計・自社施工などによって、クオリティの高い住まいを実現しながら高いコストパフォーマンスを発揮することもできているのです。
家づくりを進める上で、顧客の想いを最優先して提案することを心掛けています。顧客が納得できるまでヒアリングして、優れた提案をするため、満足いく住まいを提供できるでしょう。設計士やコーディネーターとの距離が近く、最良の相談相手として相談に乗ってもらえるので、妥協のない家づくりが行えます。
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